弱点：いい男
マックのハンバーガは 滅多に食べないけど なんだか急にフライドポテトだけ食べたくなる時がある。多分バスの中で誰かの買い物袋から フライドポテトの匂いが漂ってきたのだろう。急遽 途中下車しランチタイムをとうに過ぎた昼下がりのマックの自動ドアをくぐった。レジで並ぶと二人目に順番が回ってきたので新製品のピタを４つと海老バーガーを４つ それとフライドポテトのⅬをひとつ頼んだ。
混雑していない上に ざっと見積もっても店員は、5人いた。なのに動作がおそ〜〜〜〜い！とっとと作ってよぉ。途中下車したので希望として 次のバスが来る前にバス停に並びたいの。せっかちじゃないけど次のバスを見送ると２５分以上 用もない駅で暇を潰さなければいけない。店員が、出来あがったバーガーを袋に詰める動作がスロー再生のように見える。早くしろ！
と心の中で呟いた瞬間、背後でバスが通り過ぎた。。。あーあ ここのマックには期待してないけど のろのろした態度が憎ったらしいたら。暇を潰すのは真っ平、マックだって冷めてしまうし仕方ないので タクシーに乗った。
家に帰ってテーブルにマックを並べ 二階の息子たちを呼ぶ。
「ジョーダンでしょ？食べちゃったの？」息子Aが、ゲタゲタと笑いながら 指さした新製品のピタの中身は 空っぽ。もう一つも開いてみたら レタスしか入っていないぞ。
以前も頼んだポテトのSが入っていなかったり コーラがオレンジジュースになっていたり、あたしの怒りは頂点に達した。ぶちぎれた勢いでクレームの電話を入れると 直ぐに代わりの物をお持ちしますとのこと。電話番号や住所を伝え 待つこと30分。そこに電話が。
『ご住所は・・・・4丁目でよいのでしたよね。』
ちが〜う！思わず奥歯を思いっきり噛み締めた。何故何から何まで トロいのだ！とポテトをバクバクと口に詰め込んでいると、お玄関のチャイムが鳴った。
「大変 ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。」
本当にご迷惑！と お玄関を開け「あのねぇ〜〜〜〜〜」と顔を覗き込んだ瞬間 戦闘意欲が失せた。アハ。かなりいい男。濃い目の眉をきりり。大きな澄んだ目がどんなにあたしには、誠実に映ったか。
「あのねぇ〜 意地悪で云ったわけじゃないのよ。あまりに頻繁だから ちょっと云った方がいいと思って。わざわざごめんなさいね。」ってあたしが謝ってどうするって話だけど 昔から いい男には めっぽう弱いのよね。
息子A曰く ぎゃあぎゃあ騒ぐオバハン相手のクレーム処理係の第一条件は 色男の起用ですね。だってさぁ。負けた。
