ハンニバル・ライジング

スターウォーズでのベーダー卿が、ダークサイドに足を踏みいれていく理由があるように ハンニバルレクターにも 異常な経験と不幸な過去がある。と言ったレクター博士誕生秘話が、この春上映された『ハンニバル・ライジング』だ。時は、遡り1944年、リトアニアの貴族の息子に生まれ なに不自由なく暮らしていた彼は、第二次世界大戦末期 ナチスドイツの侵攻に巻き込まれ 両親ともども 森の奥深い小屋に逃げ込むが、間もなく両親を失う。彼は 幼い妹ミーシャと二人っきりで 飢えに耐え忍んでいた。


映画館に足を運ぶ時間が作れず DVDの発売を待ち 夕べようやく鑑賞。青年期のレクター博士は、あまりにイケメンだった。女と言う生き物は、どうも 良い男を過大評価する悪い癖がある。まして不幸な過去など さらけ出されてしまっては、慈悲深き聖母マリアになったつもりか 気持ちも彼の弁護側に傾く。こりゃいかんと 『羊たちの沈黙』(一作目)を続けて観直し 中年になったレクター(といっても一番古くレクターは、若い)を確認しつつ 再度ハンニバルライジングをみる。


再度観直した結果 あくまで私見だが、幼い頃の異常な経験だけが 現在のレクター博士の性格を形成させたものでないと匂わせるシーンもチラホラと見受けられる。つまり人間には持って生まれた資質と言うものがあると言うことだ。但し 若き日のレクターには、既に 高貴さと冷酷さは、備わっているものの レクター独自の美学は、まだ生まれてはいなかった。青年期のハンニバルを演じたギャスパー・ウリエルは、レクター博士をよく研究し 立ち姿勢、歩き方など かなり細部にわたってレクターの癖をとらえていたが、インディージョーンズの少年期を演じた故リバーフェニックスと同様、違和感が残る。

ギャスパー・ウリエル インタヴュー
http://www.cs-tv.net/blog/001715.htm