初恋の人

彼の結婚が決まった時に　彼を中心とした仲間で作った掲示板、彼抜きで進行していた。『結婚式？そんな無駄なこと　せんわ！』と今にも口から飛び出しそうな中　サプライズ披露宴の計画には、掲示板が絶対的に必要だった。以来発足された「○○会」　横浜から離れて住む彼だけが　抜き。彼を肴に飲んでいる。

主役が居ない○○の会では、声だけの出演。飲み会の間に誰かが電話をし　つながれば　それぞれが思い思いのおしゃべりをして終わる。年賀状も　電話すらかけてくるのも億劫な人なので　最初から誰もが　彼の登場など期待して居なかった。

しかし　この一ヶ月、その掲示板に　メンバー以外のアクセスが見られた。ホスト名の地域が彼の住む県と符号していたので　掲示板で　何気に　「カマ」をかけてみたら　名乗り出たのは　なんと彼だった。考えても見なかったことだ。

文字が打ってあれば上等と多くを望まなかったが、結構　沢山書いてくる。元気？と訊ねても　「普通」と一言返ってくれば良し。誰しもが　そう思っている。彼の登場は　まだ　誰も知らない。敢えて言わないでおこう。ゴールデン・ウィークが　終わったら三々五々集まってくるときが見ものだ。

私の親友は　彼の彼女　私の初恋の人は、親友の彼・・・・。この妙な関係が成り立つのは、彼の人間性と彼を取り巻く人たちと　35年という長い長い年月だ。