『尻』

帳『尻』あわせなんて器用なことできなくて　結局二時間。時計を見たら10時半。残業代なんて要らないけれど　お金が合わないのって　どうしても気持ち悪い。二時間かけても　合わない理由がひとつも見つからなかった。おじさんたちが仕事帰りにビールを一杯ひっかけて行きたい気持ちが今日は　よぉ〜く解った。残念ながらお酒は、飲めないので　開いているマックをやっと見つけて寄った。繁華街も　この時間になると珈琲が飲めるお店は、客が集中していて混んでいた。

特に喫煙コーナーは、客がひしめいている。カウンターの客と客の間にひとつ席が空いた。普段なら　絶対に座らない席だ。パーソナルスペースは、基本的に広く欲しい性格。電車の狭い座席に無理やり　お『尻』を割り込ませるくらいなら　痛い足を我慢しても立っているほうを選ぶ。

でも　今日は、地べたにでも座りたいほど　疲れていた。ほっと一息ついて　なんとなく辺りを見回す余裕が出てきたら、異次元に迷い込んだようだった。腕組みをしながら眠っている女の子、誰をまっているのだろうか？　灰皿の吸殻が山のように積もっているお兄さん。汚れたジャンパーを着た着かれきったおじさん。今にも熱い抱擁を交わしそうなカップル。その他大勢。どんな人間でも「夜」・・・と言う世界は、「素」に戻るのかもしれない。同時に中島みゆきの「狼になりたい」を思い出した。

夜明け間際の吉野屋では　化粧のはげかけたシティ・ガールと
ベイビィ・フェイスの狼たち　肘をついて眠る

なんとかしようと思ってたのに　こんな日に限って朝が早い
兄ィ、俺の分はやく作れよ　そいつよりこっちのが先だぜ

向かいの席のおやじ見苦しいね　ひとりぼっちで見苦しいね
ビールをくださいビールをください　胸がやける

あんたも朝から忙しいんだろう　頑張って稼ぎなよ
昼間・俺たち会ったら　お互いに「いらっしゃいませ」なんてな

こんな歌が　ぴったりの夜更けのマック。

「なんで　パートタイムで雇われてるのに　そこまでやるの？」
息子がぽつんと言った。

確かにそうかもしれないけれど　性格なんだよね。働かないヤツってどんな職場にもいるね・・・・。家に売り上げのレポートを持ち帰って　ゆっくり見直したら　間違いは見つかった。点検もお願いしたのに　それもしないでお休みは　ゆっくりととる。そういうヤツの『尻』拭いは、、、腑に落ちない。今日は　どっと疲れが出た。